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気まぐれ系読書ブログ

読書記録『日本のジーパン』

 

目次

はじめに
第1章「私が作る「日本のジーパン」」
第2章「日本のジーパンはこうして生まれた」
第3章「私がジーパンづくりに魅せられた理由」
第4章「ものづくりの現場が教えてくれた」
(※出版社HP本書のページより)

日本ジーンズ業界の重鎮である著者が語る日本の「ジーパン」事情とその歴史。なお著者はジーンズをファッションではなく作業着と捉えている。そのためか呼称もデニムやジーンズではなく「ジーパン」と統一している。※よって本エントリでも以下「ジーパン」とする。

 

第1章「私が作る「日本のジーパン」」では著者のジーパン哲学が語られる。ジーパンデザインの基礎的な解説も含まれるが、話の軸は著者が手がけるジーパン専門ブランド「リゾルト」へ続く道である。著者が憧れた「リーバイス」を出発点とし、自身のこだわりを貫いて生み出し→成功を収めた「ドゥニーム」。そしてこれらの経緯を見ながら今手がけている「リゾルト」に込めた思いを語っている。
第2章「日本のジーパンはこうして生まれた」では日本のジーパンの歴史を振り返っている。ジーパンの源流リーバイス501から話が始まり、ジーパンがファッションとして日本に受容されていく経緯を綴る。なおジーパン製造の舞台裏の歴史がそのメインと言える。
第3章「私がジーパンづくりに魅せられた理由」では、著者の学生時代から「ドゥニーム」を生み出すまでのエピソードが語られる。個人的に目を引いたのが著者の学生時代の話である。著者は高校のころ2時間かけて神戸に服を買いに行っていた。そこで服屋の店員のウンチクを聞いているうちにその商品を買ってしまっていた経験があるという。買って帰って自分でも「やっぱりすごいなぁ」と思う。おそらく誰もが一度は経験することではなかろうか。一流のブランドを立ち上げた人でもこうなのかと思うと却って安心しないだろうか。
第4章「ものづくりの現場が教えてくれた」は「ドゥニーム」の失敗と成功、そして「リゾルト」創造のなかでものづくりの現場で教わったことを記している。

 

値段は下げてもクオリティは(可能な限り)下げない。じゃあ何を下げるのか? 行き過ぎた低価格路線が回り回って日本経済を停滞させてきた。今では誰もが知っている溜め息ばかりの物語である。そのなかで安さよりもこだわりを優先するジーパンブランドが成功を収めている。素直に嬉しい話だと思わないだろうか。
子供の頃はジーパンばかり穿いていた私だが、気づけば歳を重ねるにつれてほとんど穿かなくなってしまった。どこの職場に行っても着用NGとなっていることが理由のような気がする。
本書は自身(読者)とジーパンの思い出を喚起する。私の場合は2つだ。ひとつは若い頃に大阪の中心街を歩いていてリーバイスの専門店を発見したこと。入ったはいいもののおしゃれ感満載の店内と店員に気後れし、「まだ自分には早い」と逃げ帰ってしまったこと(地元の服屋なら気兼ねなく買えていたのに不思議だ)。ふたつめはアメリカのドラマ「スーパーナチュラル」の主役ジェンセン・アクレスがジーパンを穿きこなしているのに見とれたこと。「こんな感じにカッコよく穿きこなしたい!」と誓ってはや数年。未だに足元にも及ばない。ただ本書を読んで少しだけチャレンジしたい気持ちが復活しつつある。*1

 

もともと物書きでない人が執筆する文章は本職の人が書くものと比べて散らかっているものである。本書は読み進めれば進めるほど著者の関西弁が入ってきて文体が崩れるが、読むのにストレスがかかるレベルではない。
ページ数は光文社新書としては少なめ。ジーパンそのものと著者の着用写真が含まれていることを思えばさらに短いだろう。分量が少ないことは認めるが、それでも著者の思いは充分に伝わってくる。「ジーパン」や「デニム」の語源など、ジーパンにまつわるトリビアだって見逃せない。
なにより本書はカバーがお見事だった。デニム生地は本の表紙にしてもカッコいい。私もついついつられて買ってしまった(笑)

 

「リゾルト」のInstagramアカウントでは著者の日記や愛用者たちの写真が閲覧できる。

 
 
 
 
 
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*1:そもそもルックスに天と地ほども差があることは言ってはいけない